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こんにちは。漢方薬局の後藤です。
先日、情報誌に「糖質は癌の餌になる」の誤解
というタイトルの文章を読んだので
内容を皆様に共有したいと思いました。
「糖質が癌の餌になる」という話はネット上でも
氾濫し、専門家の間でも賛否があるようですが
現時点で科学的根拠は存在しないようです。
糖質制限で癌が治ったという臨床データも
ありません。
一方、極端な糖質制限を行うと
正常な細胞が活動するためのエネルギーが不足し
体力、免疫力の低下につながる恐れがあります。
「糖質が癌の餌になる」というニュースが世界を
駆け巡ったのは2017年10月に海外の科学誌に
発表された論文がきっかけでした。
論文では癌細胞がブドウ糖をたくさん取り込む
性質を利用した実験結果を基に「がん患者に糖質はNG」
と解釈されました。
しかし、論文が掲載された翌週にはベルギーの生物学者が
「糖が癌を発生させると一部の人は解釈していますがそれは
あきらかに誤りです。」と釈明をしています。
では、どうして「糖が癌を発生させる」という解釈を
されたのでしょうか?
それは、癌のエネルギー代謝の特徴が原因です。
私たちの体はブドウ糖をエネルギーに変える時、
2種類の方法で代謝しています。
①無酸素の環境での代謝
→解糖系と言ってブドウ糖1分子から2個のエネルギーを作る代謝
②酸素を使う代謝
→TCA回路と言ってブドウ糖1分子から36個のエネルギーを作る代謝
酸素が少ない環境下では①の代謝しか回せません。
ブドウ糖1分子から2個のエネルギーしか作れないため
痛みやだるさ、疲労感といった自覚症状が発生します。
癌細胞は酸素が十分ある環境下でも①の解糖系に
偏った代謝しか回せないため、効率が悪く
大量にブドウ糖を必要とします。
癌細胞がブドウ糖をたくさん取り込む理由です。
この癌の性質を利用した検査がPET検査です。
このような癌の性質から
「がん患者に糖質はNG」と解釈されましたが
糖質を摂ることが癌細胞の増殖を速くするということは
確認されていないようです。
また、糖質制限することで癌細胞の増殖が遅くなることも
証明されていないようです。
むしろ、癌が進行していたり、抗ガン剤の副作用で痩せ始めた
方が糖質制限を行うのはとても危険です。
糖質が不足すると体内の脂肪やタンパク質を分解して
エネルギーを作り出そうとするため
筋肉が落ち、体がどんどん衰弱していきます。
そもそも癌細胞は食事だけで大きくなったり小さくなったり
するものではありません。
癌は食事以外に喫煙、飲酒、身体活動、ストレス、体格
化学物質、ホルモン、加齢など様々な要因が複合的に
関わっています。
がんと食事については様々な研究がおこなわれていますが
確実に癌のリスクになるとされている食品は限られています。
糖質制限をして赤肉や加工肉に偏った食事をすると大腸がん
のリスクを高めてしまうので注意が必要です。
食物繊維を含む食品や野菜は癌のリスクを下げる食品です。
野菜中心でバランスの良い和食が癌になった時の
食養生として一番おすすめです。
漢方薬局